IS1-A メディア映像処理

  • 12/5(木) 13:25-15:00
    コーディネータ:大橋剛介(静岡大)
     
    IS1-A1 非同期カメラを用いたボールの3次元軌跡復元システム
    (OS1-H1) ○玉城将,斎藤英雄(慶大)
    概要:時間同期させたカメラを用いる3次元計測はスポーツの試合場面では実施が困難なことが多いことから, 非同期カメラを用いた方法はスポーツ移動体解析に重要な技術である. 本研究では,ボール検出,カメラ校正,カメラ間の時刻ずれの推定を包括的に扱い, スポーツ試合中のボール軌跡を復元する際のフレームワークを構成する. また,実際に卓球一流選手の試合を対象とした実験より,本システムによって精度の高い結果が得られることを示す.
    <キーワード>非同期,3次元計測,軌跡


    提案システムの概要

    IS1-A2 クォーターバックの熟練度に関わる投球フォームの特徴量の分析
    (OS1-H2)
     
    ○池田遼,飛谷謙,長田典子,早藤貴範(関西学院大)
    概要:アメリカンフットボールのクォーターバックは,投球を専門とする重要なポジションであるが,その投球フォームの運動学的研究はあまり進んでいない.そこでハイスピードカメラやモーションキャプチャを用いることで,クォーターバックの熟練度によって変化する,投球モーションの違いを解析する.その結果,関節の角度などいくつかの特徴量において,熟練度と相関が見られた.
    <キーワード>モーションキャプチャ,スポーツ運動解析,投球動作,アメリカンフットボール


    モーションキャプチャによる分析の風景と得られたデータ

    IS1-A3 露出オーバ・アンダのない動画像撮影を行うためのゲイン・露光時間の自動調整
    (OS1-H3) ○大原将史,徐剛(立命館大)
    概要: 本研究では画像の明るさを一定に保つ動画像撮影を目的とし,カメラのゲイン・露光時間のうちゲインを優先した自動調整を提案する.また本手法の性能をより高めるために,ゲイン・露光時間と画像の明るさの関係,ゲインによるノイズの性質,信号の遅延などを調査した. 一方本研究では輝度ヒストグラムのピークで画像の明るさを評価する.本手法で用いるカメラの視点は固定であり,物体が映り込んでも輝度値の大局的特徴は変わらないと仮定している.
    <キーワード>動画像撮影,露光,自動調整




    IS1-A4 反復DLTを用いたテクスチャマーカの高精度な位置合わせ
    (OS1-H4) ○上瀧剛,福山翔平,内村圭一(熊本大)
    概要:テクスチャマーカー型のAR(拡張現実感)のスマートフォン上のアプリケーションが普及している。テクスチャマーカーの位置合わせ手法として,キーポイントベースのマッチングが用いられる。しかし,これらの手法はキーポイントの位置精度や画像ノイズ等により位置合わせ精度が悪く,結果としてAR上のCGモデルが小刻みに振動を起こしてしまう。この問題に対して,本研究ではキーポイントマッチングによる推定結果を初期値に,画像のエッジを合わせこむことで,マーカーの位置合わせ精度を向上させる手法を提案する。
    <キーワード>AR,テクスチャマーカー,位置合わせ


    位置補正の結果 (左:位置補正なし,右:位置補正あり)

    IS1-A5 顔追跡におけるヒストグラム類似度による精度比較
    (OS1-H5) ○及川大智,明石卓也(岩手大)
    概要:顔向きや大きさ変化に頑健な顔追跡のひとつに,ヒストグラムを用いたテンプレートマッチ ングがある.本稿では,その処理過程で必要となるヒストグラム類似度の計算手法による顔追跡精 度を比較する.計算手法として,ユークリッド平方距離,カイ二乗距離,カルバック・ライブラー情報 量,ピアソンカイ二乗距離,コサイン類似度を用いた.その結果,追跡精度が最も高かったのはユ ークリッド平方距離であった.
    <キーワード>ヒストグラム,テンプレートマッチング,遺伝的アルゴリズム


    ユークリッド平方距離を用いた顔追跡結果

    IS1-A6 実投球画像列における陰影にロバストなボール回転の計測
    ○子安大士,前川仁(埼玉大),彼末一之(早大)
    概要:野球におけるボールの挙動を解析するために,高速度カメラで撮影したボールについてどのような回転が 生じているのかを計測することは重要である.本論文では,高速度カメラで撮影した野球における投球シーンに ついて,ボール表面にある特徴の変化からボールの回転を解析する手法について述べる.屋外環境で撮影される 投球シーンでは,屋内よりも照明条件の影響が強く,ボール表面に現れる陰影が大きくなる.そこで我々は,ボー ルの輪郭によって生じる輝度勾配を利用したボール検出アルゴリズムと,連続したフレームの情報を統合するこ とで作成した陰影参照画像を用いたボール表面の特徴検出により,このような照明変動に頑健な実投球ボールの 回転解析を実現した.実験により推定精度を検証し,有効性を確かめた.
    <キーワード>高速度カメラ, スポーツ画像解析


    ボールの回転推定結果

    IS1-A7 クラウド画像処理システム向け組み込みモジュールの開発
    ○小坂谷達夫,丸山昌之,岡田隆三(東芝)
    概要: クラウド環境における大規模画像処理システム構築に向けて,高信頼性画像認識プロセッサViscontiTM2を搭載した組み込み型モジュールを開発した.既存の監視カメラシステムに対してローカルにモジュールを追加することで,監視カメラ映像の画像解析結果のみをクラウドに送信する.システムの大規模化に比例して増加する計算負荷を分散し,ネットワーク通信量を大幅に抑えることができる.試作したモジュールを用いることで,映像データを直接送信する場合と比較して,通信量を大幅に削減可能なことを確認した.
    <キーワード>組み込みモジュール,画像認識LSI,クラウド


    画像解析モジュールによるシステム構成